琉神マブヤー外伝SO!ウチナーが、僕らのヒーローでなくなった理由
沖縄では10月からRBCで「琉神マブヤー外伝SO!ウチナー」が放送開始しています。
先週の土曜日で3話まで終了。
YOUTUBEで違法アップロードしてくれてる人がいるので、県外の方はそっち見て下さい。
んで。
ネットでは賛否両論あるものの、どちらかと言うと新番組に否定的な意見が多いですね。 今回の新番組のニューキャラクターとして既に公表されている、新ヒーロー「龍神ガナシー」や悪の軍団マジムンの新ヒール「ハブクラーゲン」がまだ登場していないし、今後の展開は不明だけれども、シリーズの3話まで終わった時点で、僕の考えを少しまとめておきます。
正直、「公私共に」の部分で、多くの知人、友人が関わっている作品なので、言いにくい所はあるけれども…。
そもそも「琉神マブヤー外伝SO!ウチナー」が前作のファンから「外伝は面白くない!」「つまらない!」と叩かれてはいるものの、感情面が先立ち、冷静に「何故、面白くないと感じるのか?」という部分にまで踏み込んだ評論を僕は見ていません。 あったら是非教えて欲しいところですが、「誰もやらないなら自分でやってみる派」な僕として、挑戦してみようと思います。
単刀直入に言って、僕自身、今回の外伝第一話を見てがっかりしました。
前述したように、ネットで「面白くない」という声はすぐに起き始めたので、面白くないと感じたのは僕だけではないのは確かでしょう。
後になって、第1話と第2話を演出した高山君が「友達から電話かかってきて、怒られましたよ。」と言ってたのを聞いて、彼も彼で大変だよなぁと思った次第。制作する側は制作する側で、ファンには解らない「大人の事情」含め、辛い部分はあるのも理解しています。
もちろん、前回の「琉神マブヤー」も特撮見慣れている系の人で「最悪」とか言うネットでのコメントはありました。 それはBS11での全国放送している現在も同様です。しかし、本来支持していたファンであった「琉神マブヤー」mixiコミュ内において「面白くない」コメントが増加したのは、外伝の方向性がファンに受け入れられなかった事だと言えます。 …もちろん、今後変わる可能性はありますが、一度離れたファンの愛情を再び取り戻すのは、結構大変でしょうね。
ファンは何故「面白くない」と感じたのか。
様々な要因があると思いますが、一番の問題点は「琉神マブヤーが僕らのヒーローではなくなった。」というものです。
戦隊ものでも仮面ライダーでも、ウルトラマンでもフレッシュプリキュアでも、そして前作のマブヤーでも「変身」がある訳ですが、実は大きな違いがあります。
シリーズが続くものだと、いろんなバリエーションが出てくるので一慨には言えないのですが、誤解を恐れずに大別すると 仮面ライダーは改造人間ですが、人です。フレッシュプリキュアも人です。海外ものだとスパイダーマンとか、バットマンは人ですね。
戦隊ものは、人であるか人でないかは、シリーズによって変わりますが、最初のゴレンジャーは人でしたし、概ね人であるケースが多いように思えます。
それに対してウルトラマンは主人公が変身はしますが、人ではありません。スーパーマンもそうですね。ウルトラマンは宇宙人が人に乗り移っているだけですし、スーパーマンは宇宙人が人に変装しているだけ。 だから変身後のウルトラマンは、厳密には主人公とは違う人格を持ちます。
ウルトラマンの初回で、主人公ハヤタ隊員はウルトラマンと対峙しますし、その他のウルトラマンシリーズでも、主人公とウルトラマンが別人格である事を示す話があります。
琉神マブヤーは、ニライカナイの戦士であり、本来はウルトラマン同様「別人格」として描くべきでした。
しかし、前作では主人公=マブヤーとしてストーリーを進めてしまいました。
これが意図的であったかどうかはさておき、ファンにとっては、マブヤーがあたかも人であるかのような錯覚が起こってしまいます。
ウルトラマンというより、むしろ仮面ライダーやスパイダーマンに近い方向性です。
しかし、この基本設定を活かせなかった事が、むしろ良い方向でファンの心を掴み、多くの支持を集めました。
ダメダメな主人公がスーパーパワーでヒーローになる。
ヒーローなのに適度にいい加減だったりもする。自信過剰になったり、悩んだりもする。 焼物の工房で見習いとして働き(経済的に自立してるかも怪しい)、師匠の娘で幼なじみに恋心も抱くもうまく告白出来ないし、エイサーに誘われても参加できない。沖縄県民なのに沖縄の事を知らなかったりする。
主人公は、沖縄県民を象徴しているようにファンは感じました。
悪の軍団マジムンも、生活空間の中に登場します。山城ストアの前でおばぁに悪さしたりします。 登場人物が交わす言葉は、沖縄の若者が普通に喋る言葉です。 マジムンをこらしめることはあっても殺す事はない。
全て、沖縄県民の生活と「地続き」の話だったのです。
マブヤーはスーパーマン(宇宙人)ではなく、「親愛なる隣人」スパイダーマンと同じような愛され方で、沖縄県民に愛された訳です。
その意味で、前作のマブヤーに対して、県外の「つまらない」という一蹴は、何らおかしくない。
彼らにとってのマブヤーは生活と地続きのものではないからです。
彼らにとっては、親愛なる隣人ではなく、異世界の話でしかありません。しかし、沖縄に何度か来たことのある人や、いわゆる「沖縄ファン」にとっては、やはり地続きの話と捉えられたでしょう。
いずれにせよ、県内外でマブヤーを評価した人達は「親愛なる隣人」としてマブヤーを愛したのだと考えられます。
「琉神マブヤー外伝SO!ウチナー」でのマブヤーは、実は基本設定に忠実に戻ったとも言えます。
ウルトラマンは<地球でない場所>においては、人の姿である必要はなく、そのように描かれています。
マブヤーも<異世界>においては人の姿である必要はありません。
設定に忠実であれば、「チルダイ森」のマブヤーは、M78星雲のウルトラマンのようになるのは当然です。
主人公(?)は、その異世界に、子供でなくともきれいな心・マブイがあって行けるユンタとゆい。
しかし、どちらにも生活感はありません。
描かれ方としては、人ではありません。
アンパンマンのジャムおじさん、バタ子さんについて、作者のやなせたかし氏は「妖精のような存在」と言っていますが、ユンタとゆい、じんぶんペーチンは、異世界の妖精のように描かれています。
ドラマで描かれる風景も、完全に異世界であり、生活と地続きの場所ではありません。
(ちなみにロケ地となっている豊見城城址公園も、現在特別な許可と得た撮影以外では閉鎖されており、一般入場は出来ません)
外伝では、あたかもNHK教育の子供番組のようなスタジオ収録部分があります。
対象年齢を意図的に下げたのかも知れませんが、その意味でも「大人のファン」にとっては、離れた存在になったと言えるでしょう。
「親愛なる隣人」だと思っていたマブヤーは、異世界の住人であり、宇宙人であり妖精だった。
スパイダーマンを見に行って、アンパンマンを見せられたのであれば、客はたまったものではありません。
確かに設定には忠実なのかも知れません。
しかし、ファンにとって、これは裏切りとも言えます。
前作で、マブヤーを完全に異世界の住人として描かなかったのであれば、制作者の責任としてそれを貫くか、ファンが勘違いしているのであれば、それを丁寧にほぐしていく必要があったはずです。
ちなみに外伝の第一話でマジムンキングの封印を解くのは、普通の人です。前作からの流れで最初は気になりませんでしたが、異世界での話だと気づいた途端、この描写がおかしいと気づきました。
この人達はどうやってこの「異世界」つまり「ハゴー山」に入り込んだんでしょう? チルダイ森はきれいな心・マブイがないと入れないけど、ハゴー山には誰でも行けるのでしょうか?
逆の言い方をすれば、このマジムンキングの登場シーンを、ハゴー山ではなく、普通の住宅地の空き地とかにある、何気ないお札をはがした結果、ハゴー山にマジムンキングが現れる…とかに代える事で、現実世界とハゴー山やチルダイ森が影響しつつも、「異世界である」というのが直感的に理解でき、ファンの勘違いをゆっくり調整出来たかも知れません。
新シリーズの話については、実は僕は飲み会で関係者と話した事があります。
その時は、カナイ=マブヤーが中年になってからの話とかどう?
とか冗談めかしで聞かされましたが、異世界の話…アンパンマンにするくらいなら、いっそ、そうしていた方が良かったんじゃないかと(笑)ケンも大人には人気あったし。
主要キャストが継続出来なくなったという事情や、関係者内での対立等、様々な問題があったのは知っています。 しかし、本質的な部分を見つめる事や、間違えない事は出来たはずです。 素材が変わったからといって、一番大事な部分を変えてしまってはおかしくなるのは当然です。
4話以降の展開で、ドラマとして面白い作品にはなるかも知れません。
実際、第3話のハブデービルのエピソードにはぐっとくるものがありました。素直に面白かった。
1話も2話も、面白いと思います。
これがファーストシーズンなら、そんなに違和感なく受け入れられたでしょう。
スタッフはもともと実力があるので、今後も良質なドラマにはなるのは間違いないでしょう。
アクションは格段に良くなっています。
前回はあまり余裕がなかったであろう美術の予算も増えている感じです。
CGも全体的にパワーアップしています。
(しかし、ジンブンぺーちんの大樹の絵は何とかならないものか。手前か後ろに鳥を飛ばせば、嘘くささが減るので、検討して下さい。CGの偉い人が嘘くさいCGの風景の時には鳥を飛ばす事で、やや絵っぽさが緩和されるハリウッドの基本テクニックだと言っていました。)
これからの登場する新キャラも面白いキャラになるでしょう。
でも、マブヤーが異世界から隣近所に戻ってくるというのは、想像できません。
ユンタが変身する事になっても、それは別の世界のヒーローです。
琉神マブヤーは沖縄のヒーローだった。
親愛なる隣人だった。
そこが沖縄のファンが一番愛した部分だった。
けど、外伝のマブヤーは、別の世界のヒーローです。
沖縄の昔話を扱っているのは味付けに過ぎず、作品の根本ではありません。
ヒーロー像に関わる部分ではありません。
前作は、どうやっても県外の話に置き換えが困難でしたが、今回の外伝は言葉を標準語にして、沖縄の昔話を日本の昔話にすれば、県外の話に簡単に置き換え可能です。
結果はいずれ明白になるでしょう。
視聴率がどうなるか。
グッズやDVDの売上げがどう変わるか。
スパイダーマンがアンパンマンに変わっただけなので、もしかしたら、子供には外伝の方が支持されるかも知れません。
でも、個人的には第3弾(外伝でなく正当な続編)もしくは映画とかって話になるのであれば。
また親愛なる隣人ヒーローが見たいです。
まぁ、とにかく外伝は外伝として、応援する気持ちは変わりませんので
関係者の皆様は、そのあたり誤解しないで欲しいです。はい。
at 00:12, Matayoshi En, 琉神マブヤー
comments(14), -








